WHGR 世界歴史地政学的共鳴指標 ── 概念と目的の公開説明書 ──

WHGR

World Historical Geopolitical Resonance

世界歴史地政学的共鳴指標

── 概念と目的の公開説明書 ──

White & Green Co., Ltd. | 山田 宏 | 2026年4月

⚠️ 本ページはWHGRの概念と目的を一般向けに説明するものです。計算の詳細・係数・具体的なパターン条件等の技術的詳細は非公開です。

はじめに ── WHGRとは何か

WHGR(World Historical Geopolitical Resonance)は、山田宏(White & Green Co., Ltd.)が独自に開発した指標です。日本語に訳すと「世界歴史地政学的共鳴指標」となります。

一言で表すなら、「ある日・ある人物・ある組織・ある国家にとって、その日がどれほど大きな転換点になりやすいかを数値化したもの」です。

WHGRの核心的な問い

「なぜ歴史は特定の日・特定の人物のもとで大きく動くのか?」

「その日が『普通の日』なのか、それとも『転換点になりやすい日』なのか、事前に知ることはできるか?」

WHGRはこの問いに、東洋占術(四柱推命・干支理論)と地政学・歴史分析を組み合わせることで答えようとする試みです。

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1. 背景:270年文明転換サイクル理論

1.1 すべての出発点

WHGRは単独で生まれた指標ではありません。著者・山田宏が長年研究してきた「270年文明転換サイクル理論」の実用的な応用ツールとして開発されました。

270年文明転換サイクル理論とは、人類の文明・覇権・宗教・経済が約270年を周期として大きく転換してきたという仮説です。ローマ帝国の衰退、イスラム文明の勃興、モンゴル帝国の膨張、大航海時代の幕開け、産業革命、そして現代の多極化——これらが約270年の等間隔で起きてきたことを、各国・各文明の歴史的転換点データから統計的に検証したものです。

論文の公開状況(Zenodo)
  • Paper A:270年サイクルの統計的検証(p<0.0001・Cohen’s d=5.76
  • Paper B:基底数270の特殊性(p=0.0040・Cohen’s d=3.59
  • Paper D:格子拡張論(多文明への270年サイクル適用)
  • Paper E:応用研究(続報)

DOI: 10.5281/zenodo.15193820(Paper A)

1.2 マクロからミクロへ

270年という「大きなサイクル」が存在するとすれば、当然こう問いたくなります。

スケールダウンの問い

「では、10年単位・1年単位・1日単位でも、似たようなリズムはあるのか?」

WHGRはこの問いに対する一つの答えです。270年の大サイクルの背後にある時間的リズムを、より短い時間軸にスケールダウンして「その日の転換点エネルギー」を数値化しようとしたものです。

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2. WHGRの概念

2.1 「転換点ボラティリティ」という考え方

WHGRが測定しようとするのは「転換点ボラティリティ」です。これは「その日に大きな変化・転換が起きやすいかどうかの度合い」を意味します。

株式投資でいう「ボラティリティ(変動性)」に近い概念ですが、WHGRが測るのは価格変動の大きさそのものではなく、「その日が歴史的・地政学的に見て転換点になりやすい構造にあるか」という性質です。

WHGR数値の読み方意味
高い正の値(例:+300以上)特定の資産・人物・国家にとって大きな転換点エネルギーが高まっている日
高い負の値(例:−150以下)地政学的なエネルギーが抑圧・潜伏している状態。反発のエネルギーが蓄積
中立(±150以内)特別な転換点圧力のない「普通の日」
重要な注意点

WHGR値は「上がる・下がる」を直接示すものではありません。あくまでも「何かが起きやすい構造にある日かどうか」を示す指標です。

2.2 二つのWHGR指標

WHGRには主に二種類の指標があります:

指標名略称何を測るか
SP-WHGR個別WHGR特定の対象(資産・人物・国家)にとっての固有の転換点エネルギー。その対象の「誕生日」の干支を基準に算出
W-WHGR世界WHGR世界全体の地政学的転換エネルギー。特定の対象に依存しない「大局的な変動エネルギー」
重要な発見:2つの指標は独立して機能する

6,598日(2000〜2026年)のS&P500データを用いた統計検証から、SP-WHGRとW-WHGRは「差分」ではなく「それぞれの絶対値水準」で独立して市場に影響することが判明しました。

つまり「世界のエネルギー」と「S&P500固有のエネルギー」は別物であり、両者が重なった時に特定のパターンが生まれます。

2.3 WHGRの理論的な三本柱

WHGRは以下の三つの知的系譜を統合しています:

知的系譜WHGRへの貢献
① 四柱推命・干支理論(東洋占術)時間の「質」を干支(十干十二支)で把握する思想。特定の日が持つ五行のエネルギー(木・火・土・金・水)を転換点の文脈として活用
② インド占星術(ジョーティシュ)惑星と基準点との角度(アスペクト)が持つエネルギー値の概念を応用。特定の角距離が「共鳴」を生むという思想
③ 歴史学・地政学実際の歴史的転換点データとの照合による検証。270年サイクル理論を支える実証的基盤
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3. WHGRの仕組み(概念レベル)

※ 以下は概念の説明です。具体的な計算式・係数等の技術的詳細は非公開です。

3.1 「共鳴(Resonance)」という概念

WHGRの名称に含まれる「Resonance(共鳴)」は物理学・音楽の概念からの借用です。

楽器の弦は特定の周波数で最も大きく振動します(共鳴)。WHGRでは、対象の誕生の瞬間と特定の日の干支が特定の関係にある時、その対象にとって「共鳴が起きやすい状態」になると考えます。共鳴が起きると、エネルギーが増幅され、転換点が生まれやすくなります。

共鳴の種類説明効果
強い正の共鳴その対象になじみのよいエネルギーが高まる状態大きなプラスの転換点エネルギー
強い負の共鳴その対象を圧迫するエネルギーが高まる状態大きなマイナスの転換点エネルギー(反発の素)
中立転換点エネルギーが低い状態特別な動きが起きにくい普通の日

3.2 WHGRの数値の読み方

WHGRの計算結果は数値として出力されます。数値が大きいほど「転換点エネルギーが高まっている状態」を、小さい(負の)数値ほど「エネルギーが抑圧・潜伏している状態」を示します。数値はプラスにもマイナスにもなり得ます。

3.3 五行との関係

WHGRは干支理論(四柱推命)と深く結びついています。特に「五行の転換」——前日から当日にかけて五行(木・火・土・金・水)が変化するパターン——がWHGR数値と組み合わさることで、特有の市場効果が生まれることが統計的に確認されています。

五行の転換とWHGRの組み合わせ
  • 「激化(火の日)から転換(土の日)へ」というリズムは、WHGRの数値が特定の水準にある時に特に強い市場効果を持つことが判明しています
  • 「水の気が連続する日(潜伏・深化)」にW-WHGRの数値が低い状態が重なると、翌日の上昇バイアスが高まることも確認されています

※ 具体的なパターンの条件・係数・閾値は非公開です。

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4. 統計的検証の概要

4.1 検証の方針(分割検証)

WHGRは「信念」や「直感」だけに基づく指標ではありません。実際の市場データとの統計的照合によって、その有効性を客観的に検証しています。

研究では「学習期間」と「検証期間」を厳密に分離する「分割検証」を採用しました。学習期間で発見したパターンが検証期間でも再現するかどうかを確認することで、過学習(後付け解釈)のリスクを最小化しています。

6,598
検証データ数(営業日)
26年
検証期間(2000〜2026年)
2
分割検証期間
(学習 / 検証)
検証データ内容
対象資産S&P500(米国株式指数)日足終値
期間2000年1月〜2026年4月(約26年)
データ数6,598日(営業日)
学習期間2000〜2011年(3,017日)
検証期間2012〜2026年(3,582日)
検定手法Welch t検定(不等分散・両側)

4.2 主要な発見

発見統計的根拠意味
命題1p=0.0021・Cohen’s d=+0.437(中程度の効果量)・学習→検証期間で再現 ✅SP-WHGRの数値が特定水準以上の日に、火から土への五行転換が重なると翌日の上昇確率が有意に高まる
命題2p=0.0134・Cohen’s d=+0.278(小〜中程度の効果量)W-WHGRの数値が特定水準以下の日に、水の気が連続すると翌日の上昇確率が有意に高まる
否定的発見差分・合計・符号組み合わせ:全て有意なパターンなしSP-WHGRとW-WHGRは「差分」ではなく各々の絶対値水準が重要。2つの指標は独立した情報源
Cohen’s d とは?(一般の方向け)

統計的な「効果の大きさ」を示す指標です。p値が「偶然ではない(再現性がある)」を示すのに対し、Cohen’s d は「どれくらい大きな効果か」を示します。

  • d=0.2が「小」・d=0.5が「中」・d=0.8が「大」(社会科学の目安)
  • 命題1のCohen’s d=0.437は「実用的に意味のある中程度の効果」

4.3 五行単独では予測力がないという発見

重要な否定的発見もあります。干支の五行(木・火・土・金・水)単独では、市場への有意な影響は確認されませんでした。全五行がほぼ均一な転換率(31〜33%)を示しました。

「今日が土の日だから上がる」は成立しない

五行単独に市場への有意な影響はありません。WHGRの有効性は「WHGR数値 × 五行の転換コンテキスト」という複合条件下においてのみ発揮されます。これが他の干支占術とWHGRの最大の違いです。

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5. WHGRの応用範囲

5.1 金融市場への応用

WHGRの最も実証的な応用領域が金融市場です。株式指数(S&P500・日経225等)、商品市場(原油・金等)、為替市場への応用を研究しています。

各金融資産には「取引が始まった日」の固有の干支があります。その誕生の干支を基準としたSP-WHGRを計算することで、その資産固有の転換点エネルギーを推定できます。W-WHGRとの組み合わせで、より精密な分析が可能になります。

5.2 地政学・マンデーン分析への応用

WHGRは個人の命運だけでなく、国家・政治・社会変動の分析にも応用できます。「マンデーン(世界・国家規模)」への応用です。国家の建国日・政権の発足日・条約の締結日の干支を基準として、その国家・政権にとっての転換点エネルギーを推定します。

応用事例(分析対象)WHGRの用途
米国・中国・ロシア等の主要国各国の「転換点が来やすい時期」の推定
エネルギー市場(WTI原油・天然ガス)ホルムズ海峡封鎖等の地政学リスクとの連動分析
金融危機・株式市場の大転換過去の大事件とWHGR数値の照合・検証
政治指導者の個人分析指導者の個人的転換点と国家の転換点の重なりを分析

5.3 個人への応用(P-WHGR)

個人に対しても同様の分析が可能です。生年月日時の干支を基準とした「P-WHGR(Personal WHGR)」は、その人物にとっての転換点エネルギーの高低を示します。

※ 個人の生年月日から算出される干支情報は極めてセンシティブな個人情報です。個人の具体的な算出結果は一切公開しません。

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6. 270年サイクル理論とWHGRの関係

時間スケール理論示すもの
数百年〜千年270年文明転換サイクル理論(Paper A〜E)文明・覇権・宗教・経済の大転換のリズム
10年〜数十年大運的分析(大局的転換期)国家・組織・個人の長期的な転換期
日次〜月次WHGR数値(本ページの主題)特定の日が転換点になりやすいかのエネルギー測定

WHGRは270年サイクルという「大きな波」の中に「小さな波」を見出す試みです。大きな転換期(270年サイクルの節目)には、日次レベルのWHGR数値も特に高くなる傾向があるという仮説を研究しています。

現代の文脈:多極化世界への転換

270年サイクル理論によれば、現在(2020年代)は約270年前(1750年代・産業革命前夜)に相当する「文明転換の入口」に位置します。ドル基軸通貨体制・西側中心の世界秩序が多極化へと転換する時期において、WHGRのような「転換点のタイミングを読む」ツールの価値はますます高まります。

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7. 他の指標・占術との違い

7.1 西洋占星術との違い

比較項目西洋占星術WHGR
基準実天体の位置(惑星)干支体系(象徴的時間システム)
時間軸トランジット・プログレッション日次の数値として出力
定量性定性的(吉凶の方向性)定量的(数値として出力)
統計検証ほぼ行われていない分割検証・Welch t検定で有意性確認
個別性誕生ホロスコープによる個別分析誕生の干支を基準とした対象固有の数値算出

7.2 四柱推命との違い

比較項目四柱推命WHGR
目的個人の運命・性格・吉凶時期の鑑定転換点エネルギーの定量的測定
対象主に個人個人・組織・国家・金融資産
出力定性的な解釈(格局・用神・吉凶)定量的な数値
統計検証ほぼ行われていない実データで統計的に検証
応用先個人鑑定・マンデーン地政学分析・金融市場・歴史研究

7.3 テクニカル指標との違い

WHGRは「価格から独立した外部変数」である
  • テクニカル指標:過去の価格 → 未来の価格を予測(内部変数
  • ファンダメンタル指標:企業業績・経済指標 → 価格への影響(外部変数)
  • WHGR:干支・歴史的リズム → 転換点エネルギー(完全に価格から独立した外部変数)

価格に依存しない独立変数であるため、既存のテクニカル分析との組み合わせで補完的な価値を持ちます。

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8. 限界と誠実な姿勢

8.1 WHGRの限界

  • WHGRは「上がる・下がる」を直接示すものではなく、「転換点エネルギーの高低」を示すものです
  • 有意なパターンが確認されているのは現時点でS&P500のみ。他資産への検証は継続中です
  • サンプル数が少ないパターン(N=33等)については、統計的な頑健性をさらに高める必要があります
  • 多重検定問題(多数のパターンを探索すると偶然有意になるリスク)には学習・検証分割で対処していますが、完全な排除はできません
  • 計算の基準となる誕生日の干支の妥当性については、引き続き検証が必要です

8.2 探索的研究としての位置づけ

著者の立場

現在公開している論文はいずれも「探索的研究(Exploratory Study)」として位置づけています。確証的な結論を導くには、さらなる独立したデータセットによる再現と、査読付き学術誌への掲載が必要です。

「WHGRが完成した理論である」とは主張しません。「有望な発見がある仮説体系」として、引き続き誠実に研究を続けます。

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9. 今後の研究計画

9.1 検証の拡張

  • 日経225・WTI原油・金(COMEX)への同一分析の適用
  • 2012〜2026年のサブ期間(リーマン後・COVID後・AI相場別)分析
  • 命題1・2が同時に成立する日の複合分析
  • 外国為替(USD/JPY等)への応用

9.2 理論の深化

  • 270年サイクル理論とWHGR日次数値の連動性の検証
  • マンデーン分析(国家・地政学)への本格的な適用
  • 査読付き学術誌への論文投稿

9.3 公開予定の情報

情報現在の状況公開検討時期
WHGRの概念・目的本ページで公開済み公開済み
統計検証結果(p値・効果量)Zenodo論文で公開公開済み
他資産(WTI・金・日経)の検証結果分析中論文完成後
計算方法の概要(学術的)未公開査読論文として
具体的係数・計算の詳細企業秘密非公開(予定)
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おわりに

WHGRは「東洋占術の智慧」と「現代の統計科学」を架け橋しようとする試みです。

「なぜ歴史は特定の瞬間に動くのか」——この問いは人類が太古から問い続けてきたものです。干支という数千年の経験的知恵の結晶と、現代の統計的検証手法を組み合わせることで、この問いに対して少しずつ、より客観的な答えに近づけるのではないかと考えています。

WHGRの研究はまだ途上です。論文はZenodoで公開しており、ご意見・ご批評を歓迎します。

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